6月12日の出来事~外国人からのおもてなし〜コーヒーショップ

その日、ぼくはアルゼンチンのコモドーロ・リバダビアに着いた。

4年ぶりにニコに会うためだ。

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(ニコとヒロ 2013年ニュージーランド)

 


空港の出口を出ると、ニコが待っていた。

 

おお!ニコ!ひさしぶり!


そしてハグ。外国人の友人との挨拶は必ずハグで始まり必ずハグで終わる。それが国際社会では常識とされるルールだが、最初のうちは、照れ臭かった。ぼくが本格的に海外へ行き始めたのが2013年。それから4年半経った今、躊躇することなく自然にハグやキスで挨拶ができるようになるとは、環境への人間の適応力の高さに驚かされる。

 

外国人は友人をすごく大切にする。

 

その日、ニコはぼくのために仕事を早退してまで空港に迎えに来てくれた。外国人は日本人ほど仕事を優先して生きていない。スイスの友人フィリップに会いに行った時は、フィリップは仕事を早退して迎えに来てくれたし、マレーシアのアイリスに会いに行った時も、彼女は、ぼくと過ごすために、わざわざ有給をとって休んでくれた。仲の良さにもよるけど、それが外国人の『おもてなし』のようだ。

 

家族を紹介する

 

普段、ニコは実家暮らしだ。でも、ぼくの滞在中、ぼくたちは彼の両親が経営するアパートに寝泊りすることになった。空港から車で1時間走ると、そのアパートに着いた。荷物を置くと、さっそくニコが

家族を紹介するから実家に行こう!

と言う。

外国人のおもてなしでよくあるのが、この、家族の紹介だ。東アジア(日本、中国、韓国など)を除くすべての国でこの風習はある。ニコは父親、母親、兄弟姉妹、家族をひとりひとり丁寧に紹介してくれた。

 

 

せっかく紹介してくれたニコの家族に対して「こんにちは」「よろしく」だけじゃ、それはさすがに失礼である。国際社会の常識でスモールトーク(Small Talk)という言葉がある。いわゆる、雑談、世間話である。初めて会う人と会話のキッカケとして、このスモールトークはビジネスシーン、イベント、パーティなどいろんな場面で重要視される社交スキルである。

 

 

ぼくはスペイン語があまり得意じゃないから、話すのに苦労したけど、コモドーロは気温が低いから

すごく寒いですね。雪でも降るんですか?

と天候の話をしたり、ぼくは首都ブエノスアイレスで彼女と住んでいたから

ブエノスアイレスは近代都市で鉄筋コンクリートの建物ばかりだけど、ここは自然が豊かで良いですね

と地元の感想を述べたりしてスモールトークを楽しむことができた。

 

 

外国人宅に行った時、食事はいつもセットでついてくる。
外国人のおもてなしでは、自慢の料理を客人に振舞うことが多い。この時の御馳走は、アルゼンチン料理のミラネッサと、サラダ、パンだった。

 

友達を紹介する

 

食事を終えると、ぼくたちはニコの友達が経営しているコーヒーショップへ行くことになった。コモドーロにはアルゼンチン唯一のコーヒーショップがある。コーヒーショップとは、コーヒーが出てくるカフェではなくて、アムステルダムにある、あのマリファナ(大麻)を吸うコーヒーショップのことだ。

 

もちろん、中では、みんなマリファナを吸っている。日本では犯罪の代名詞のようなマリファナだが、海外では、そこかしこで吸っているタバコみたいなものだ。

 

ぼく自身はマリファナを吸わない人間だが、マリファナについては海外生活が長いのでよく知っている。一般的にマリファナは紙で巻いてフィルターをつけて吸う。見た目はタバコとそっくりなので、知らない人はタバコと勘違いしてしまうだろう。吸引すると多幸感を感じたり、ポジティブな気分になるのがマリファナの特徴である。

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(アルゼンチン唯一のコーヒーショップHappy Farm)

 

店内には5、6人ほどの客がマリファナを吸っていて、その煙で店内は満ち溢れていた。タバコと同様にマリファナにも「受動喫煙」という言葉がある。実際に、吸わなくても受動喫煙により煙を吸ってしまうのだ。

 

ぼくたちは2時間くらいいたので、実質的に2時間もぼくはマリファナの煙を吸っていたことになる。当然、ぼくはハイになった。楽しい気分になり、おしゃべりになり、気がつくと、いつの間にか夜になっていた。宴もたけなわで、帰ろうとした頃、ニコの友達のマガとパブロがやって来た。どうやら、ニコが呼び寄せたらしく、ぼくたちはマガの家で夕食をすることになった。

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(マリファナを撮影させてもらいました)

ちなみに、マリファナ大麻取締法では所持のみが罰せられ使用に対する罰則規定はないので、受動喫煙により使用(?)してしまったぼくが罪に問われることはない。

 

友人宅で夕食

 

中南米、イタリア、スペイン、ポルトガル、いわゆるラテン国家の人達は夕食の時間帯が遅い。9~10時頃から食べ始める。マガは野良犬を保護している動物愛護の活動家で、家には12匹の犬と3匹の猫がいた。

 

ぼくはパスタと手作りプリンをご馳走になった。

 

ぼくたちがイメージしているパスタは正確にはスパゲッティのことで細長い麺を使っている。パスタは原料は同じだけど見た目が肉団子のように丸っこい形をしているものだ。コロコロ転がっていきそうなパスタにミートソースをかけて食べた。

 

そして帰宅

 

マガの家を後にし、アパートに戻ってきたのが午前2時頃。

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(コモドーロの夜景を背景にニコと。)

 

その日、ニコは一日中おもてなしをしてくれた。久しぶりに再会する友を想う気持ちがヒシヒシと伝わってきた。

家族や友人を紹介するおもてなしは日本にはないものだけど、それはそれで、良いと思った。なによりも嬉しかったのは、ニコの想いやりだった。

 

おもてなしの基本は想いやり

世の中には、いろいろなおもてなしがある。観光名所を案内したり、家族や友人を紹介したり、食事を振る舞ったり。そういった物理的な歓迎は、もちろん嬉しいものだが、その歓迎の背景にある「想いやり」が伝わってくる瞬間の方が、ぼくは嬉しく思う。

 

「想いやり」は目で見ることはできない。心で感じ取るしかない。でも、たしかに、その想いは相手に伝わる。

 

何をしておもてなししようか、にこだわるよりも、不器用でも、相手を想いやる気持ちがあれば、どんな事でも相手は喜んでくれるはず。

 

おもてなしの基本は想いやり、ということ。

不器用なニコは、マリファナを吸わないぼくをコーヒーショップに連れて行ったけど

君に是非、見せたいお店なんだ!

という想いを目をキラキラさせながら伝えてきたから、ぼくは嬉しかったし、吸わないけど行ってみた。

 

おもてなしの基本は、想いやり。

 

おしまい。